『チエルアルコは流星の』めぐるの想いがいつか叶いますように
「船長がさ もしも彼の目指す通りにさ
人間みんな一人残らず赤ン坊からじいちゃんまで
心から感動させる名スピーチができたならさ…」
「ムリよ 人の心はわからないものよ たとえそれが親友や家族であっても ね」
「ムリかなぁ… そうかなぁ…」
―『プラネテス』4巻 PHASE.25「光の速さで45分」より
ハチマキとサリーの会話(一部省略)
この後ハチマキはクルーのケンカを止める際に「この宇宙にオレに関係ない人間なんか一人もいねーんだ」と言い放ち、木星到達のスピーチを任せられることになります。そして利己的であった彼がタナベとの出会いを通じて知った愛を、愛のチカラを話して終わります。
PSR八宮めぐるが『チエルアルコは流星の』シナリオの最後で「色って心で見てるんだね―」「わたし、この鮮やかな空をみんなに見せられるようになりたいな」と言うんですが、このハチマキのやり取りを思い出しました。ハチマキがタナベと出会って世界の見方が変わったように、プロデューサーと出会い、仲間と出会い、そして水槽の魚を通して彼女の世界が変わっていく。普遍的な世界は変わらずとも、気持ちの有り様で見える世界は変わる。彼女の心にある陰と、成長を感じられる素晴らしいシナリオでした。いつかめぐるがハチマキの言う"スピーチ"ができる日が来ますように…
またこのタイトルの付け方も憎い。"チエルアルコ"とはエスペラント語で"虹"を表すそうですが、このエスペラント語というのは国境も人種も超えて使われることを目的に作られた言語。そんな"世界中の誰でも伝わる言語"からこの『チエルアルコは流星の』というタイトルを付け、そしてあのラストにしたライターさんは本当神がかった仕事をしてくれたなと思います。いろんなところでシナリオについては考察されているので、そちらを参考のこと。
「チエルアルコは流星の」はめぐるの過去、現在、そして未来【ネタバレ満載の感想】:たぬきのちらうら - ブロマガ
きみはとってもきれいな色だよ、チエルアルコめぐるの話|かのはら|note
もちろん絵師さんも素晴らしい。水槽に映っためぐるを描くことで、内面がメインの話だということを暗喩してくれてると思います。演出面もシナリオ部分は馴染みの形式で紙芝居なんて言われることもありますが、この表情が変わる一瞬の間だったり、ラストカットに何を持ってくるかとか、そういうところでセンスがいかんなく発揮されてますね。シャニマスすげぇ。
…おかしいな、めぐるは金髪ボインのエッチなキャラという印象だったのに『小さな夜のトロイメライ』しかり、元気ハツラツエッチなキャラというイメージは嘘だったんやな…でも好き。